疲労骨折

風邪を引いたら、身体を温めて、消化の良い物を食べて
やわらかいお布団にくるまって、数日安静にすれば治る。

鬱のことを、よく「心の風邪」と表現するが、
それほどタヤスク回復はしない。
「心の骨折」のほうが近いと思う。疲労骨折だね。

真面目な人ほどなりやすい病と言われるが、
こう表現されることも本人を苦しめる。
「真面目」は、自分の数少ない長所だと思ってきたのに
それがわざわいするとは。
どうしたら真面目にならず生きればいいのだろう?
などと真面目に悩み、さらに自分を追い詰める。

そもそもトラウマ満載の人生なので
なっても仕方の無い病だったかもしれない。

病院で「鬱です」と診断され、数週間、会社を休んだ。
重たい心と体を引きずって出勤したが、
どうにもだるい、集中力がない、能率は悪い
不安な要素が次々浮かんできてジャッジできない。
自信喪失。その果てには

  もし私が生まれなかったら、父と母は別れずに済んだのに
  もし私が生まれなかったら、母は新たな出会いがあったのに
  もし私が生まれなかったら、母は死なずに済んだのに
  もし私が生まれなかったら、義父母に苦労をかけなかったのに

じくじくと古傷をつつく作業が止められなかった。

この状況を打破しなければ、と真面目に考えてしまい、
休日も重い身体を引きずり、それなりに費用もかけて
セラピーに通ったり関連書籍を読み漁ったりもした。
まったく無駄だとは言わないが、効果は薄かった。



今思うに。

鬱が疲労骨折なのだとしたら、骨がつながるまでの数ヶ月は
もどかしくても、じっと耐えるしかなかったのだ。
セラピーだなんだと、本人はリハビリのつもりなのだが
それには時期が早すぎた。
安静にすべきときに、歩行訓練を始めてしまったようなものだ。
それでは回復はむしろ遅くなる。

疲れたときには、ポジティブにはなれっこない。
何か決断を迫られる事態があっても考えない。
これは「逃避」ではなく「保留」なのだ、と言いきかせて眠る。
眠れないときは薬の力を借りる。
眠るに勝る治癒はない。

今は、かろうじて、このとおり。
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by senriko | 2006-04-13 19:03
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